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「雪蛍」

大沢在昌の「雪蛍」を読んだ。
大沢は、ハードボイルドを書き、代表作は「新宿鮫」シリーズである。その一つである「無間人形」で直木賞を受賞している。いわゆるキャリアなのだが、正義感ゆえに、その「ルート」には乗らず、一匹狼ならぬ、一匹鮫の警察官として、捜査に当たるという話である。当然、東京・新宿を舞台としており、一時期、歌舞伎町では「新宿鮫ツアー」で「ここが鮫島が○○を捕まえたところです。」などとガイドが説明をしていた(嘘)。
私は「新宿鮫」シリーズはほとんど読んだ。このシリーズは、今も続いており、先日、最新刊が出たばかりだ。
さて「雪蛍」は、彼の別の人気シリーズである、失踪人調査員、佐久間公を主人公とする話の一つである。冗長であった。「新宿鮫」の主人公、鮫島と、この作品の主人公、佐久間公に共通する(そして、おそらく、大沢在昌自身の)信念は、麻薬は何が何でも許せない、ということだろう。そしてもう一つは、自分自身の職業と人生を同一視することである。話の展開の中で、時折、主人公が、独白めいたセリフをいうシーンがある。かなりインパクトのあるセリフもある(ハードボイルドの特徴の一つかもしれない。「優しくなければ生きていけない」とか「光陰矢のごとし」とか)。鮫島にも佐久間公にも同じ傾向がある。しかし、鮫島の「新宿鮫」と違い、「雪蛍」は佐久間公の視点から見た一人称で文章が書かれているため、この独白が長くなり、その分、冗長な印象を受けてしまった。

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[2001-03-03]