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ラ・トゥールダルジャン

JR四谷駅を降り、上智大学の脇を歩いていくと、巨大な建物が、前方に見えてくる。
ホテルニューオータニである。
このホテルの中に超高級フランス料理店がある。
ラ・トゥールダルジャンである。
「恨ミシュラン」という朝日新聞社の本によると、いろいろな噂があるらしい。
その中の一つ「料金は一人最低7万円である」。
とんでもない店であるが、今回、幸い、タダで行くチャンスを得たのである。

ホテルに入ると正面にホテルマンが立っている。
案内係である。
実は、半年ほど前に、友人の結婚式で、このホテルを訪れたことがある。
このときは、ホテルマンに捕まり「どこに行くのか」と詰問された。
田舎者であることがばれたのであろう。
今日は、男の横を、さも常連、てな顔ですり抜けた。
実は私の連れに「今日のレストランの名前、知ってる?」と訊いたら、ジャンバルジャン、とか何とか、訳の分からないことを言っていたので、ホテル側の人間に訊かれるのがいやだったのだ。
しかし、半ズボン(キュロット)を履いたホテルガールに捕まってしまった。
そして「どこに行くのか」と詰問された。
「トゥールダルジャンです」とすらすらと言う。
「(この通路を)まっすぐ歩いたところの右側です」とのこと(実は、この答えの前に「予約したのか」とも詰問された。
そんなに世間知らずに見えたのか)。

さて、歩いて行くが、ずいぶん高級そうな店が並んでいる。
しかし、私たちが求める、それらしき店はない。
ついに通路の端にたどり着く。
今度は自分からホテルガールを捕まえて訊くと「(この通路を)まっすぐ歩いたところの左側です」とのこと。
どうやら行き過ぎたらしい。
今度は慎重に今来た通路を戻る。
すると、薄暗い一角がある。
どうもここらしい。
穴蔵のような通路を進んでいくと、黒服の店員が二人、すっと現れて挨拶をする。
二人とも手にメモを持っている。
今日の予約状況らしい。
予約客である旨を告げると、片方の店員がテーブルまで案内してくれた。

通路は薄暗いが、ダイニングルームはシャンデリアが明るく煌めいている。
テーブルは全部で15卓くらいだろうか。
午後6時だったが、数組の客がすでに来ていた。

料理の料金はタダだが、ワインは別である。
店に来るまで、そのことが心配だった。
まず、料理のメニューを渡される。
コースが決まっているので、ここは気楽である。
メインは選択でき、私が鴨、連れが羊を頼んだ。
シェリー酒が最初に出るが、どうするか、と訊かれ、甘口を頼む。
これが失敗。
甘すぎる。
そして、変な黒縁めがねをかけた、ソムリエが登場。
ワインリストを渡されるが、分からないから、と正直に言って、返す。
何しろ150種もあるらしい。
白のやや甘口のハーフボトルにしてくれ、と言うと、ソムリエはワインリストのページを開いて「これはいかがでしょう?」。
ソムリエが示してくれたワイン(当然、名前は忘れた)には9500円の値段が付いていた。
私は、他に言いようがあるだろうに「もっと安いのにしてくれ」と、また、正直に言ってしまった。
さすがにソムリエの顔に困惑と驚愕が混ざった表情が浮かぶ。
この店では値段でワインを選んではいけないのだ。
「白のやや甘口のハーフボトルは他にありません。
」「これはどうですか」と言って9500円ワインの上の段のワインを示す(当然、名前は忘れた)。
これは安いがそれでも5500円である。
ソムリエは「これは、やや甘口、ではないですよ。
ハーフボトルが用意されているもので、他の甘口だと、かなり甘いものばかりになります」と言う。
「飲みやすければよいです」と言うと、ソムリエは「では、これがよいです」と言って、5500円ワインを示す。

ワインが運ばれ、テイスティング。
飲み始める前に、代表者のグラスにワインを一口分だけ注いで味を確認する行為であるが、この作法は知っていたので、問題なし。
このときもワインの銘柄を示されたが、当然、忘れた。
しかし、ソムリエの偉いのは、私がワインに対して無知であることが明らかなのに、きちんとワインの銘柄と製造年をわざわざ言うことである。

後は、料理を食べるだけである。

  • 毛蟹と鰆のテリーヌ マニゲット添え
  • 海の幸の取り合わせ海胆風味
  • パイ包みマロンのクリームスープ
  • 幼鴨のロースト「トゥールネル河岸」
    又は
    子羊の生ハム巻ロースト
    ポテトのファルシ ピーマンのコンポート
  • 季節のサラダ
  • 「三重奏」オレンジのフォンダンとコーヒーのムース
    グレープフルーツのクリスティアン
  • コーヒーと小菓子

前菜は、サワラとカニをキャベツで巻いたものの輪切り。
魚料理は、タイとスズキとヒラメをそれぞれマッシュポテトの上に載せ、その上にウニを載せたもの。
スープは、クリのパイ包みスープ。
カボチャもそうだが、クリのスープはあまり好きな味ではない。

と出てきて、いよいよ、メインである。
この店の売りは、である。
鴨は、はじめに胸の肉、次にももの肉、と2回に分けて出される。
この鴨の肉が軟らかくて美味しい。
ボーイがやってきて「この鴨は155725番です」といい、カードを渡す。
カードには、確かにその番号が印字されている。

セーヌ河畔より望む「銀の塔」。
トゥールダルジャンの歴史は、1582年、セーヌの岸辺に始まります。
19世紀末、その輝かしい歴史に華を添えたのは「偉大なるフレデリック・デレール」。
彼は手がけた鴨の一羽一羽に番号をつけるというユニークなアイデアを実行に移し、
1921年6月21日、当時、皇太子であられた昭和天皇を53,211羽目の鴨でもてなす栄光に授かりました。
1984年、トゥールダルジャンの支店として初めてオープンした東京支店では
その栄光に由来した、53,212羽目の鴨から新たな歴史が始まりました。

売りは、実は、鴨ではなく、この鴨の番号なのだ。
私は、このサービスを知っていたので「わあ、ほんとだ」と内心、喜ぶ。

途中で白ワインを飲みきってしまった。
どうしようかなと思った瞬間、ソムリエがやってきて「赤ワインはいかがでしょう?」と言うので頼む。
もう、私のワイン無知が分かったのか、銘柄なども言わずに、グラスに入ったワインが運ばれる。
後で知ったが、このグラスワイン、1杯、2000円也。

デザートは、アイスクリームとムースの間にオレンジの薄切りが挟まっているもの。
このオレンジ、オーブンで軽く焼いたらしく、パリパリとした食感は面白いが、苦くて不味い。

最後にコーヒーとお菓子が出てきて終了。
午後8時。
満腹である。

会計は、ワインなどの追加のみ。
9000円くらい。

総評

とにかく、ボーイの数が多く、親切。
過剰と言ってもいいくらいである。
慣れない者が行くと、いつも見張られているような感じを受けるかもしれない(私がそうだった)。
そもそも、何度も行けるような所ではない。

帰りも出口までお見送り。
ボーイに「料理は大体、いくらくらいですか」と訊くと、一人2万円だという。
これにワインを付けると(一番、安いやつ)、一人3万円。
噂の半分だが、私にはやはり高い。

出口に料金表があったので見ると、鴨料理単品で1万円くらい。
他のメニューも、どれも5000円以上である。
合計すると2万円を超えるが、あらかじめ決まったコースならば多少、安くなるのだろう。

場所

ホテルニューオータニの中。

データ

営業時間

17:00-22:00

住所

東京都千代田区紀尾井町4-1ホテルニューオータニ2階ロビー階

電話番号

03-3239-3111

取材 2000年1月8日

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[2000-01-08]

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