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権利証の文字が消える

世の中には馬鹿な人がいるものだ。

「権利証」と呼ばれる土地や家屋の登記済証の文字が、今にも消えそうなほど薄くなる。そんなことがおき、法務局や司法書士団体を驚かせている。90年代にワープロ印刷で使われた感熱紙を使ったことが原因だった。

東京都大田区の主婦(65)は昨年暮れ、たまたま金庫を整理し、入れていた自宅の権利証の字が読めなくなりそうなぐらい薄くなっていることに気づいた。
95年に夫を亡くし、96年に相続による所有権移転登記をした。事務に詳しい知人がワープロと百貨店で買った感熱紙で、申請書類を作ってくれた。正本と副本を法務局に提出し、副本に登記済の判が押されて返された。これが権利証になっている。知人は「当時、感熱紙の字が消えるとは知らなかった」と話す。(朝日新聞)


昔のワープロはインクリボン方式が主流であった。インクの付いたリボンを紙に重ね、文字の形に熱をかけてインクを溶かし、紙に付着させるというやり方だ。この方法はインクの溶けた部分よりも溶けない部分の方が断然、多く、非常に無駄が多い。私は10年以上前にワープロを買ったが、このインクリボンの方式が無駄だと思ったため、当時、出始めたばかりのインクジェット方式の物を買った。これは文字の部分だけインクを使うので無駄が少ない。キヤノン製で「バブルジェット」と呼ばれていた。バブルの時代にこんな名前の商品があったのである。今では家庭用プリンタではこのインクジェット方式が主流である。我ながら先見の明があったと思う。
さて、必要な部分だけインクを使うという発想のインクジェット方式だが、なぜか別の方法を考えた人がいて、それはインクを使わないという方式。インクリボン方式は文字の形に熱をかけるのだから、熱をかけた部分だけ色が黒くなる紙を使えばよい。これが感熱紙方式。今でもファクシミリや商店のレジのレシートに使われている。これは逆転の発想で、インクリボンの入れ替えの手間がなくなり、とても良い方式だった。最大の弱点は印字状態が悪く、最悪、文字が消えてしまうこと。そのため、感熱紙方式のファクシミリで大事な書類を受け取ったときは、コピー機で複写を取るのが常識である。
というわけで、このニュースに登場するような主婦は常識知らずの間抜けと呼ばざるを得ない。ましてや、個人の持っている書類で、これ以上、大事な書類はないと思われる権利証を感熱紙で作ってしまうなんて。鉛筆で年賀状を書くより馬鹿である。
「事務に詳しい知人」も一体、何に詳しいのか。1990年代の半ばには、感熱紙方式はすでに主流ではなかったような気がする。
合掌。

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[2003-06-02]

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