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「不夜城」

先週末、ブックオフで古本を買った。もっとも新刊など置いていないが、この店の古本は「程度」がいい。通常は定価の半分の値段だが、これが少し経つと100円になる。文庫などは驚くほど早く100円で売られる。
さらに私が行った店ではキャンペーン期間中ということでこの100円の文庫が2冊100円で売られていた。これはいい機会だと思い、10冊も買ってしまった。これで500円である。安い。まあ店側の策略にまんまとはまったとも言えるのであるが。
文庫は定価でも安いがそれでも500円はするわけである。それが古本だと1冊あたり50円ないし100円で買えてしまうわけであるから、一般の本屋が怒るわけである。今に雑誌しか置かない本屋が現れるだろう。弁当が売られていない分、コンビニエンスストアより、役に立たない。
さて、このとき買った中に馳星周の「不夜城」がある。ハードボイルドである。1996年の作品だが、このとき確か、ミステリー好きの上司に薦められたのに断った記憶がある。私は今も昔も密室ものが好きなのである。ハードボイルドはあまり読まない。しかし、今回、ブックオフで見かけ、2冊100円キャンペーンのおかげで「まあ、読んでみるか」という気になった。
これが面白い。登場人物がほとんど中国人ばかり、主人公にもどうも共感できない、エンディングがあっさりしている、など、のめりこむ要素はないはずなのに面白い。新宿を舞台にした中国の裏社会を丹念に描いているという感じで非常に興味深い内容である。
ただ、主人公を含め、裏切り者が多すぎ、エンディングでも仲間をあっさり殺してしまうなど、どうしても主人公に感情移入できなかったため、読後感はあまりよくない。同じ新宿を舞台にした大沢在昌の「新宿鮫」シリーズの方がやはり好きである。シリーズ2作目の「毒猿」は「不夜城」と同じく、中国人が多く登場するが、異国の地で生活することのつらさ、気持ちが伝わってきて、非常に感動した記憶がある。何より主人公が正義を貫いている。この「不夜城」ではそれがなかった。解説によれば作者は意識してドライに書いているようなので狙いどおりと言えばそのとおりなのだが。

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[2003-10-03]