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「殺意の集う夜」

西澤保彦の「殺意の集う夜」を読んだ。例によってミステリーである。
西澤の作品は奇妙なものが多いようだ。第1作はバラバラ殺人ばかりを集めた連作短編集(「解体諸因」)、第2作はその人と話をすると過去に不思議だと思っていてそのままになっていた出来事の真相が思い浮かぶという話(「完全無欠の名探偵」、愛人のコートのポケットに穴があいていたことを思い出し、それが自分を殺そうとしていたからであることに思い至るなど)。最高の出来といわれているのは第3作の「七回死んだ男」で、これは、時々、同じ日を9回繰り返してしまう少年の話。つまり、今日は日曜日だった、と一日を過ごして眠ると、翌朝は、また同じ日曜日。次の朝もまた同じ日曜日、これを9日間繰り返すという、SFチックなミステリー。この奇妙な設定の上で、殺人事件が起きる。
この「殺意の集う夜」も奇妙な話である。台風に閉ざされた山荘で、主人公が同宿していた客を、次々に誤って殺してしまう。助けてもらおうと、自分の友人の部屋に行くと、その友人が殺されていた。誤って殺してしまったのは仕方がないとしても、友人まで殺したことにされてはたまらない、と、主人公は真相を探ることにする。「そして誰もいなくなった」の変形版といっていいかもしれない。最後の一行でどんでん返しがあるが、彼のこれまでの作品に比べると、いまいちといった印象。いろいろと仕掛けを張りすぎたからかもしれない。逆に、再読すると、新しい発見があって、面白いかもしれない。

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[2001-01-25]