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「凍える島」

何日か前から読んでいた近藤史恵の「凍える島」を読み終えた。ミステリーである。
第四回鮎川哲也賞受賞作。鮎川哲也という人は本格推理の大家で、世の中が松本清張を代表とする社会派推理ばかりを求めていたときに、一人で本格推理の世界を守っていた人だといわれる。その人の名を冠する文学賞がミステリー以外のものであるわけがない。
この「凍える島」は、男女数人が孤島で過ごすうちに、次々と殺されていくという、「孤島もの」の典型である。似たようなパターンに「雪の山荘もの」がある。どちらも、登場人物が逃げられない代わりに外部からの侵入がない、警察の介入がないなどの特徴を持つ。「孤島もの」は比較的広い範囲(島全体)を舞台とすることができるが「雪の山荘もの」は非常に狭い範囲(建物の中)しか使えない。逆に「雪の山荘もの」は、登場人物が、偶然、集まってしまったという設定を使える。「殺意の集う夜」は、台風により、山荘に閉じこめられるという「雪の山荘もの」の変形であるが、偶然、殺人者が集まってしまったという解決に結びつけている。
「凍える島」では、詩を読むような美しい文章を読むことができる。女性から見た恋愛感情が上手く描けていると思う。しかし、私はミステリーに恋愛の描写は最低限でいいと思っているので、この作品はミステリーとしては弱いように感じた。2時間ドラマ風に、途中で犯人が分かってしまってがっかり。どんでん返しが最後にあるな、と思いながら読むと、せっかくの解決も、あまりびっくりしない。しかし、そういう点を割り引けば、よくできた作品であると思った。

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[2001-01-30]